3.トンネル

折渡(おりわたり)隧道

折渡(おりわたり)隧道は、羽越線の亀田と岩谷を結ぶトンネルとして大正13(1924)年に完成、その一部区間に日本で初めてシールド工法が採用された。
 大正15(1926)年7月に鉄道省秋田建設事務所が発行した『羽越線折渡隧道工事概要』によれば、「本隧道は羽越北線羽後亀田駅と羽後岩谷駅との中間にあり(中略)羽越線第一の長隧道にして秋田県由利郡亀田町と同郡岩谷村との境にある折渡峠の下部を貫くを以って峠の名を冠し折渡隧道と称す」(第1章総説 p.1)とある。
 起工は大正6(1917)年6月、竣工は当初予定の大正7年8月15日を大幅に延長し、大正13年4月19日にようやく完成に至った。シールド(盾構)の導入決定は大正8年8月31日、軟性泥岩頁岩の層に突き当たり従来工法では無理と判断したとあるが、先に鉄道院総裁官房研究所に設計を依頼していたことから予定の導入であったことが伺われる(土木学会誌7-3(1921)に当時同研究所技師であった田中豊の「羽越北線折渡隧道用シールド設計概要」と題する報告が掲載されている)。準備期間を経て大正9年9月に着工、さまざまな改良を加えつつ掘削を進めたが、大正11年3月に硬質砂岩層が現出し、11年12月シールド工法を中止して在来工法に切り替えた。(『羽越線折渡隧道工事概要』から要約。当該部分の原文
 なお、当時の事務所長には八田嘉明、矢内信譲、中村謙一、技師には新海栄一、池原英治、倉崎兵馬、小出]次郎の名が見える。また技手以下26名の名前があるが、その一人田村里行は工事を振り返って以下のように語っている。
 「丸善で購入した英文の『トンネルシールド』(注:Tunnel Shields and The Use of Compressed Air in Subaqueous Works,W.C.Copperthwaite,1906)の本を読みながらの工事だった。頁岩層のためこの工法を採用したが、ジャッキがないため自動車に使うようなものを使用。何箇所も同時にできず、上手に押すことができなかった。」
(田村技手の孫にあたる杉崎忠久氏(神奈川県立城山高等学校長h20.7.1現在)のメモより。杉崎氏からは、上記原書を土木図書館に寄贈頂いた。同書はブルネル(Mark.I.Brunel,1769-1849=I.K.Brunel,1806-1859の父)が1818年に考案し1825年にテムズ川トンネルで初めて使用したシールドトンネル工法を、1864年に完全に実用化したグレイトヘッド(J.H.Greathead,1844-1896)の肖像を巻頭に掲げ、1900年初頭までのシールドトンネルについて詳述した400頁に及ぶ大著である。(図書イメージ:表紙 肖像写真 図−書き込みあり) (jscelib sakamoto)


1.折渡隧道岩谷口


2.折渡隧道秋田口


3.折渡隧道岩谷口
 工事中全景図


4.大正八年五月
中背丸形支保工折損(其の一)


5.(其の二)


6.(其の三)


7.(其の四)


8.中央部横る丸太は墜落せる大引にして左側に斜倒するは第三胴張なり


9.導坑支保擔の土臺地盤隆起の為め折損押し上げられたる状況


10.大正十二年十二月
導坑支保工の折損


11.導抗擔木の折損


12.大正十二年十一月
大引の折損


13.導抗より掘出せる鯨骨化石


14.盾構を抗外に於て假組立の景(其の一)


15.(其の二)


16.盾構假組立の状況


17.抗内組立隧道に於て盾構組立の状況(其の一)


18.(其の二)


19.組立隧道部に於ける盾構推進の状況


20.盾構推進作業の状況

 
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