アーカイブとしての土木図面に関する調査報告書

はじめに

(前略)土木図面は、近代土木技術の関連資料の中でもその史料性からとりわけ重要な位置を占める。しかし、現存する歴史的土木構造物でも、図面が残されている例は必ずしも多くはない。(中略)
 図面は他の図書と異なり、公開を意図したものではなくその存在については、実態がよく把握されていないのが現状である。これらの関連資料は時間の経過とともに失われる可能性が高く早急に着手する必要がある。土木分野では、図面を史料対象として扱い積極的に評価する面では遅れているが、図面を含む関連資料に関する調査・研究は、歴史的土木構造物の保全と一体不離の課題であり、かつとりわけ緊急性の高いテーマである。
 欧米ではアーカイブ整備の一環としての土木図面の保存、閲覧が進んでいる。国内においてもとくに近年、デジタル技術の発展にともなって、絵画、絵図、地図、写真などの画像を史料として解読する研究が広がりを見せている。
 本調査・研究では、歴史的近代土木構造物として事例が最も多い鋼橋を対象として設計図面を対象とした。土木分野において、図面や設計計算書を史料の対象として行った調査としては、始めてのものであり、歴史的近代土木構造物関連資料に関する基礎的な調査・研究に位置づけられる。今後、本調査をきっかけに、土木分野のアーカイブ調査がさらに拡大することを期待する。
 なお、本研究は、土木学会図書館委員会と鋼橋技術研究会の関係部会で、実施したもので、平成18、19年度の文科省研究助成を受けて実施した。


平成20年6月 / (社)土木学会土木図書館委員会

公開ファイル目次

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表紙 ( pdf )
目次 p.D ( p.D - E )
1. はじめに p.001 ( 1./p.001 - 4.3/p.039 )
2. 研究の背景 p.002
3. 研究の目的と方法 p.004
3.1 研究の目的 p.004
3.2 研究の方法 p.004
3.2.1 図面分析 p.004
3.2.2 図面保管管理 p.005
4. 図面等の分析 p.007
4.1 調査対象の概要 p.007
4.2 図面の種類と構成 p.018
4.3 図面の分析結果 p.019
4.4 設計計算書の分析結果 p.040 ( 4.4/p.040-042 )
4.5 図面保管管理 p.043 ( 4.5/p.043-057 )
5. 考察 p.058 ( 5./p.058 - 5.1/p.099 )
5.1 実地調査 p.058 ( 5.1/p.80-85 , p.86-90 , p.91-99 )
5.2 アンケート調査 p.100 ( 5.2/p.100-106 , p.107 )
5.3 その他(建築分野の図面調査) p.108 ( 5.3/p.107 )
5.4 図面デジタル化について p.109 ( p.109-114 )
6. 今後の研究の展開等 p.115 ( 6./p.115-116 )
資料編(目次) p.117 ( p.117-118 )
資.1 7橋現地調査メモ p.117 ( p.119-126 )
資.2 増田淳図面一覧表 ( ページ番号なし/1p )
資.3 増田淳設計計算書一覧表 p.141 ( p.141 , ページ番号なし/5p )
資.4 41B,108A,41D設計計算書 p.187 ( p.187 )
( 41D設計計算書分析 ) p.189 ( p.189-190 )
( 42B設計計算書分析 ) p.192 ( p.192-196 )
( 108A設計計算書分析 ) p.197 ( p.197-138 )
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