第29回土木計画学研究発表会・講演集
(この内容は発表申込み時のものです)
オーガナイザー 上田孝行(東京工大)
企画について
SSセッション名
交通と空間経済におけるGlobalとLocal
企画概要
交通・通信ネットワークの進展は活動を広域化させ,国,地域,都市といった単位で空間経済を捉えること自体に根本的な変更を強いる.空間構造がダイナミックに変化する中で,活動拠点の階層的構造も変容し,従来からの空間経済理論ではそれらの現象を説明することには限界が生じている.
広域化を国際的レベルで捉えるとき,グローバル化という表現が多用される.しかし,その具体的内容は一様ではなく,また,一方では地域の独自性に根ざした自立性が主張され,グローバル化とは逆のローカル化の動きも見られる.すなわち,それぞれの地域・都市はネットワークの中でグローバルな活動の拠点となっていく場合もあれば,ローカルな拠点として存立していく場合もある.前者を集中化,後者を分散化の動きとすれば,両者が並存的に進行しており,その結果としてどのような空間構造がこれから実現するのかについて確立された見解は未だ存在しない.
インフラ政策においても,計画の空間的範囲,意思決定の主体や権限の配置を根本的に見直さなければならない.国土というレベルを基準にして,世界をグローバルと見る従来の捉え方は適切でなく,例えば,地方の中小都市が世界規模の経済活動と直接に連動したり,あるいは大都市圏部が必ずしも国際的拠点とはなりえない場面も今後はあり得よう.
本セッションは,第一に,現在進行しつつある空間構造変化をGlobalとLocalという視点から捉え直し,従来からの交通と空間経済に関する諸理論が持つ限界について議論する.第二に,現象の進行に対応して今後のインフラ政策のあり方について,欧州とアジアのそれぞれの実態を手がかりに議論していく.セッションは2部構成として,最後に総合討議を行なう.