第27回土木計画学研究発表会・講演集
(この内容は発表申込み時のものです)
発表者 小林潔司(京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻)
論文について
論文タイトル
動学的最適化と実行の遅延
論文概要
現実の多くの政策決定の場面において、最適なタイミングで新しい政策やプロジェクトが実行に移されることはほとんどない。例えば、混雑税が提唱されてよりすでに半世紀が過ぎようとしているが、近年になりようやく実行に移されようとしている。このように望ましい政策が提唱されて実行されるまでに多くの歳月が流れる場合が少なくない。特に、新しい政策や制度が他の政策・制度との間に補完的な関係が存在し、新しい政策・制度を単独に導入することが非効率となる場合も多い。これに対して動学的最適化問題は極めて複雑な意思決定が瞬時の内に実行されることを暗黙の内に想定しており、現実との距離が相当程度に存在する。本稿では、現実的な動学的意志決定問題において、政策実行の遅延が生じる要因について検討するとともに、このような摩擦的現象を考慮した動学的最適化モデルの可能性について展望する。